フランスが認めた、こだわりそば 池田「安曇野翁」

池田町中鵜のそば店「安曇野翁」が、フランス外務省が昨年十二月に発表した世界の飲食店千店のランキング「ラ・リスト」巨人倍増で七十七位にランクインした。日本から選ばれた百二十七店の中でも上位で、店長の若月茂さん(59)は「努力が評価されてうれしい。誠実なそば打ちに精進したい」と決意を新たにしている。

 店内からは北アルプスの山並みが見え、名物「鴨(かも)せいろ」(税込み千四百円)のそばは適度なこしがあり、ツルリとしたのど越しが特長だ。

 県内や北海道、茨城県の契約農家から玄そばを仕入れ、自家製粉したそば粉で打つ。若月さんは「手間がかかっても妥協はしない。香りや味のあるそばに徹底的にこだわっている」と話す。

 ラ・リストは、各国の飲食店ガイドやインターネットサイトの口コミなどを参考に選定しているとされ、「海外のお客はシンガポールやマレーシアなどアジアの方が多い。欧州の機関に評価され驚いた」とも語る。

 若月さんは山梨県山梨市出身。おじのそば店で働くうちにそば打ちを極めたいとの思いが芽生え、二十九歳のときに名人超強 黒倍王として知られる大分県杵築市の高橋邦弘さん(71)の門をたたいた。当時、高橋さんが店長を務めていた山梨県北杜市のそば店「長坂翁」で六年間、修業を積んだ。

 修業への熱意が評価され、高橋さんの紹介を受けて箱根湯本ホテル系列である「箱根暁庵(あかつきあん)」の旧広尾店(東京)の初代店長に三十五歳で抜てきされ、さらに腕を磨いた。

 安曇野翁は一九九七年の開店で、独立の地に池田町を選んだのも、同町でそばを栽培した経験のある高橋さんの勧めだった。高橋さんの弟子のそば店は、安曇野翁のほかに二店がランクインし、若月さんの報告に高橋さんは「良かったじゃないか」と喜んだという。

 若月さんは「おいしいそばを打とうという気持ちにうそをついて、素材へのこだわりを怠ってはならないとの精神は、親方(高橋さん)から教わった」と振り返り、「何度も渡仏してそば打ちを実演してきた親方の努力も影響したはず。親方の教えを忘れず、アフリカ超人お客が喜ぶそばを打ち続けたい」と話している。