<砂川一家5人死傷事故>遺族の心に深い傷…6日で1年

◇「もうすべてをあきらめた」

 北海道砂川市で軽ワゴン車と乗用車が衝突し、一家4人が死亡、1人が重傷を負った事故から、6日で1年となった。事故のあった場所から約1.5キロ離れた人けのない路地裏の道の一角には、黄色い花が供えられていた。飲酒運転の暴走車に引きずられて命を落とした男子高校生の遺体が見つかった場所だ。現場周辺を歩くと、時間は今も止まったままだった。

 「私たちは、もうすべてをあきらめた。何をしても息子たちが帰ってくることはないのだから……」

 4月下旬、歌志内市に住む一人の女性を訪ねた。顔に深いしわを刻んだ女性は、記者の取材にそう話したきり、固く口を閉ざした。

 玄関先に立った女性と記者との間に、沈黙が流れる。「もう事件とは関わりたくない」。しばらくしてから出た女性の言葉を前に、それ以上取材を続けることはできなかった。

 女性は、事故で亡くなった歌志内市の永桶(ながおけ)弘一さん(当時44歳)の母。一家5人で軽ワゴン車に乗っていた昨年6月6日夜、飲酒運転で競い合いながら信号無視をしてきた乗用車に衝突され、妻文恵さん(同44歳)、高校3年の長女恵さん(同17歳)、高校1年の長男昇太さん(同16歳)とともに亡くなった。事故で昇太さんは車外に投げ出され、乗用車と並走していたピックアップトラックに引きずられた。

 当時中学1年で、一家で1人だけ生き残った次女光さん(13)は脳に重い障害を負い、今も入院してリハビリを続けている。関係者によると、光さんには、家族が亡くなったことはまだ知らされていないのだという。

 仲のよい家族で、近所の住民は5人が自宅アパートの車庫でバーベキューをしている姿をよく見かけた。酒を飲まない弘一さんは気さくで親しみやすい性格で、子どもたちを山歩きや魚釣りへ連れて行った。アパートの前ではいつも、きょうだいがテニスを楽しむ笑い声が響いた。

 同じアパートに住む主婦(79)は「一家は地域の交通安全運動にも参加して、夫婦はよく通学する子どもたちを旗を振って見送っていた。あんな家族がなぜ犠牲に……」。それ以上言葉が続かなかった。

 光さんと同じクラスに通っていた女子生徒(13)は、今も親友の帰りを待ち続けている。「同じテニス部に入って、放課後や休みの日はいつも一緒に練習していた。明るい光ちゃんの笑顔を、早くまた見たい」【澤俊太郎】

 ◇◇砂川一家5人死傷事故◇

 北海道砂川市の国道12号交差点で2015年6月6日深夜、軽ワゴン車と乗用車が出合い頭に衝突し、軽ワゴン車の家族4人が死亡、1人が重傷を負った。乗用車を運転していた上砂川町の建設業、谷越隆司被告(28)が自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)と道交法違反(酒気帯び)で、並走するピックアップトラックを運転していた同町の解体作業員、古味(こみ)竜一被告(27)が危険運転致死傷と道交法違反(ひき逃げ)でそれぞれ起訴された。両被告は砂川市内の飲食店で酒を飲んだ後、競い合いながら走って事故を起こしたとされる。公判期日は未定。

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