強制連行の中国人男性実話、28日大阪で

太平洋戦争中に日本に強制連行され、終戦を知らずに14年間北海道の原野に隠れて生き延びた中国人男性の実話を基に書かれたカンタータ(声楽曲)「脱出」が28日、大阪市内で大阪フィルハーモニー交響楽団と公募の合唱団によって演奏される。戦後71年を迎え、実行委は「忘れてはならない出来事を歌の力で語り継ごうとするこの曲を演奏する意義は、以前より大きくなっている」と話す。

 オペラ「森は生きている」や合唱曲「原爆小景」で知られる林光さんが作曲した。1978年に東京で初演され、西日本では今回が初演になるという。歌詞は小説にもなっている劉連仁(リュウ・リェンレン)さんの体験を中心に、詩人の木島始さんが書き下ろした。劉さんは北海道の炭鉱労働に従事させられ、終戦直前に逃亡。日本への強制連行の実態を証言し続けた人物として知られる。2000年、87歳で死去。

 曲は全18章、演奏時間1時間10分の大作。身重の妻を残して日本軍に連れ去られ、強制労働から脱走して14年間生き延びた男性の怒りや悲しみを激しく、美しいメロディーでつづる。<逃げだすか うちこわすか それが 奴隷の思い>。最終章では、忘れてはならない事実を歌で伝えていこうと訴える。

 大阪府内の音楽教育に関心のある教師らでつくる「大阪音楽教育の会」を中心とする実行委が演奏会を企画した。実行委員長の鶴賀とも子さん(65)=同府岸和田市=は「テロや紛争が頻発している現在、過去の事実を知ったうえで相手と向き合おうというこの曲を歌う意味は大きい」。

 合唱団には関西を中心に広島や徳島など全国から約150人が参加。小学校教諭や保育士、主婦など、年齢層もさまざま。同府茨木市の保育士、諸岡拓未さん(31)は「将来まで伝えていくべき大事な歴史だと思う。責任を持って歌いたい」と練習に励んでいた。指揮は、林さんが12年に亡くなるまで30年以上親交のあった作曲家の寺嶋陸也さん(52)。「光さんが『多くの人に聴いてほしい』と望んでいた曲を大阪で初めて上演できるのは楽しみ」と話している。
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