【担当記者が見たリオ五輪・柔道】再建支えた「ヘーシンク・ノート」

リオ五輪で日本の男子柔道は一応の復権を見た。金2銀1銅4で史上初の全階級メダル獲得。井上康生監督は「素晴らしい子供たちと五輪を戦えたのは素晴らしい思い出になる」と男泣きした。

金メダルを見せる大野将平

 伝統を背負うがゆえの重圧。一方で伝統は支えにもなった。「面白い資料を見せてもらった」。五輪開幕の約1カ月前、井上監督はあるノートの存在をうれしそうに明かしてくれた。64年東京五輪で日本勢の強力なライバルになると予想され、実際に無差別級金メダルに輝いたヘーシンク(オランダ)。ノートには同選手の練習を見た日本の指導者たちによる詳細な分析、見解がつづられていた。柔道界が一致団結し、大きな壁を越えようという執念の記録だった。
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 男子柔道再建、そして当時のヘーシンクのような存在のリネール(フランス)を倒す。そのためにありとあらゆる手立てを講じてきた。家族との時間もほとんど取れない4年間。心折れそうになる時もあったはず。しかし、それは先人たちも通ってきた道。「今も昔も勝つための執念は同じ」とリオに臨む井上監督に覚悟を与えてくれた“ヘーシンク・ノート”だった。