【不朽の名作】漫画界のレジェンドたちの青春と挫折を描いた作品「トキワ荘の青春」

今月11日にドラマとして実写化された『天才バカボン』、去年10月から放送され3月末に最終回をむかえる、女性を中心に人気を集めたアニメ『おそ松さん』。これら2作品の原作を描いたのは、2008年に亡くなった漫画家の赤塚不二夫だ。今回はその赤塚が、漫画家廃業危機に陥っていた時に助けた、とある人物を主役とした映画『トキワ荘の青春』(1996年公開)を紹介する。

 タイトルに「トキワ荘」と入っている時点で、だいたいの人はわかると思うが、手塚治虫や藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫など、後の漫画界を引っ張っていくこととなる漫画家たちが若手時代をすごしたトキワ荘でのエピソードを扱った作品だ。とはいっても藤子不二雄や赤塚の華々しい成功物語を描くのがこの作品の中心ではない。手塚が去った後のトキワ荘の住人たちに「テラさん」と呼ばれ尊敬され、頼りにされた漫画家・寺田ヒロオがこの物語の主人公だ。

 寺田といえば、貸本全盛時代から漫画界で活躍し『スポーツマン金太郎』や『背番号0』など、数々の名作を残している。しかし、70年代には早くも漫画家としては引退状態で、80年代以降に有名作がないことから、他のトキワ荘メンバーに比べると後の知名度はそれほど高くない。この作品はそのトキワ荘の負の部分、ダークサイドを描いており、寺田がなぜ後に漫画家を引退してしまったのかの心理描写が所々で描かれている。