顔をのけぞらせ

あたしとミディアスは、あたりを見回して、すぐに地下牢の入り口に人影を発見した。
まだ子供と言っても通用しそうな小さな人影。それでも、顔をのけぞらせ、ふんぞり返って、高笑いを続けている。
「アンナ!」

ミディアスの声で、ようやく高笑いを止めた。ゆっくりとした足取りで地下牢の中の通路を進んでくる。
「オーホッホッホー。ミディアス、いい気味だわね。どこへ逃げようとしてもムダよ! 最初に会ったときに言ったでしょ! あなたはわたしのものだって。あなたはわたしのものにならなくちゃいけないって!」
そして、あたしたちがいる牢の前に声の主が立つ。その姿は、太陽の光が固まり、まとまったような長い髪をもつ少女だった。
少女は、ミディアスに負けず劣らずの美形だった。完璧なパーツ。完璧な配置。当代きっての名工が精魂込めてこしらえた人形が、神の眼にとまり、そっと命を吹き与えられたような、そんな神秘的な現実離れした雰囲気を持つ美少女。そんな少女があたしたちの牢の前に立っているのだった。

「「う、うそ……」」
期せずして、あたしとその少女が同時に同じ言葉をつぶやいた。
あたしは、そのあまりの美貌に信じられない思いで、でも、彼女は、なんでそんなことを? あたしって、彼女と同様に見た眼が信じられなくなるほど美しいとでもいうのかしら?
「だ、だれ? あなた、だれなの?」
あたしを指差して、詰問してくる。
「ミディアス、この女は、だれ? だれなの?」
えーと……? なに、これ?

ミディアスは、あたしの隣で苦笑を浮かべている。
「ミディアス、答えなさい。この女はだれなの? なんで、ここに一緒にいるの?」
ミディアスは肩をすくめるばかり。
「なんで、答えないの? あなたは、わたしのものなのよ。答えなさい。わたしの質問に、ちゃんと答えなさい!」
大きく見開いた眼。怒りがこもっている。

朝、猫といっしょに

額に感じた軽い衝撃と爪があたるするどい痛みのせいで、今朝も眼が覚めた。
まぶたを開けると、至近距離でピーターの樓按鼻がヒクヒク動いているのが見える。
「おはよう」
いつものようにやさしく声をかけると、さっきと同じ鳴き声。
「ニャァ~~~~」
腹減った。エサくれぇ~ って。

ベッドから起き上がると、勉強机の上のスマホを取り上げ、メールチェック。
昨日、眠ってから、だれからもメールは来てないようだ。みんなまだ寝てるのかな?
さっそく、おはようのメールを作成して、登録してある友人たちに送信。
そのままベッドの上でぼうっとして、昨日の夕方から降り続いている窓の外を眺める。やがて、
手の中のスマホが震えた。メールの着信だ。
『おはよう。今、起きた』
詩穂からだった。つづいて、早苗からも。
窓の外の風景や返事のメールを眺めていたら、しだいに頭の中がはっきりしてくる。
私の隣で、ピーターがまた「ニャァ~~」と鳴く。その背を撫でてあげてから、ようやく、ベッドを抜け出した。

パジャマのまま下へ降りると、コーヒーの匂いが充満している。テーブルにパパが着いていて、朝刊片手にコーヒーを飲んでいるのだ。コーヒーを飲んでいるってことは、もう朝食はすませPretty Renew 代理人たのだろう。
「おはよう」
「おはよう。顔洗っといで」

そうして、私は洗面台へ向かった。
さっぱりして、顔をタオルで押さえながら戻ってくると、パパはもう玄関にいて、
「いってくる」
「いってらっしゃい」
ドアを閉めて、出かけていった。
玄関には、パパがさっきまで突っかけていたスリッパが転がっており、さっそく、眼を輝かせたピーターがそのスリッパとプロレスごっこ。ふがふが鼻息も荒い。
「ほら、ピーター、ごはんだよ」

スリッパに抱きついた格好のまま、私を見上げている。私が、台所へ向かい始めると、跳ねるようにして追いかけてきた。

腹減った。エサくれぇ~

エサ皿を山盛りにすると、すぐに腹ペコ猫が頭から突撃してくる。
カリカリと渇いた音を立てながら、一心不乱に食事をする。尻尾が、左右にゆったりと揺れている。それを見ていPretty Renew 代理人たら我慢できなくて、首の後ろから、背中、シッポまで、撫でた。
一度、ピーターが顔を上げた。けれど、私の顔を確認すると、また何も言わずに皿にもどった。

見ず知らずも同然

「さっきベンチに座ってたらさ。なんかどこかで会ったことある女の子が目の前に座っているからさ、だれだろうって考えていたんだけど、ほらさっき窓口で名前を呼ばれたときに気がついたんだよね。あ、そうだ、あの斉藤さんだって」
「あ、そうなんですか・・・・・・」
「で、ついつい懐かしくなって声をPretty Renew 代理人かけちゃった。ゴメンね、突然に」
「あ、いえいえ。全然」
私たちは、並んで歩きながらセンターの最寄り駅を目指す。富永くんも今日は電車だったらしい。
「ここって、車より電車の方が断然便利な場所にあるからさ。それに通勤で毎日通過する駅だから、定期使えるからね」
「そうなんだ」
「そうそう・・・・・・」「・・・・・・」
って、会話が続かない。同級生だというけど、正直よくは知らない男性。見ず知らずも同然。そんな人とでも会話を盛り上げるなんて芸当ができるのだったら、いまだに独り身なわけがない。
はぁ~
「あ、ごめん。こんな話題つまらなかった? ごめんね」
「あ、いえ、いいんです。全然」
どうやら、心の中だけでついてたつもりのPretty Renew 代理人ため息、口から出ていたみたい。
富永くんは必死になって頭を下げてくれるけど、むしろ、申し訳ないのは私の方で。
「あ、そ、その、気にしないでください。今のは、ちょっと考え事をしていて・・・・・・」
って、それはそれで相手に対して失礼だよね。一生懸命に話しかけてきてくれている男の人の話を聞こうともしていないってことなんだから。
なにやってるんだろう。はぁ~
「そ、そうなんだ・・・・・・」
富永くん、すこし涙眼Pretty Renew 代理人だよ。ごめんなさい。

鈍い音がした

先に入っていた何枚かの硬貨とぶつかり合う鈍い音がした。その音を耳にしたら、首尾よく大根を手に入れられたことに満足感を覚える。
だけど、すぐ隣で、最後の一本の樓按貸款大根を取られて情けない顔で立っている祥吾がいて、そんな顔を目の隅に見ちゃったら、ついつい声をかけてしまうのは人情ってものだろうな。小さなころから知っている間柄でもあるし。
「で、あんたのところ、なんにする予定だったのよ? 大根なんかつかって」
「あ、うん。浩三おじさんのところから、ブリ送ってきたから・・・・・・」

ブリ送ってきたから・・・・・・ ブリ送ってきたから・・・・・・ ブリ送ってきたから・・・・・・
不意にその言葉が頭の中をぐるぐると回り始めた。
祥吾の家の浩三おじさんといえば、北冷氣機推介の方の海の近くに住んでいる人。
ブリが手に入って、今大根を買いに来ている。それって・・・・・・ それって・・・・・・ ブリ大根っ!

途端に、口の中に涎が。おっと、こぼれそうになった。
あの料理上手な裕子さんがブリを手にいれて、大根と炊いて。
絶対、おいしくないはずなんてないっ!
そして、我が家と祥吾の家は、おいしいものを分け合うような結構親密なご近所づきあいをしていて。
今晩のおかず、グフフフ・・・・・・

そこで、ハッと気が付いた。
けど、け、けど、今、その最後の一本の大根は、私の手の中にある。そのまま祥吾が大根を持って帰れなかったら、祥吾reenex cps價錢ママの裕子さんはブリ大根作れないじゃない。そしたら、今晩の我が家の献立・・・・・・ 絶望っ!

我慢をしてもいいことはない

出先から歩いて帰ってくると、マンションの回りでは植栽の剪定の真っ最中だった。そうか、今日だったかと思いながら近づくと、我が家の車のそばにも切った木が積まれている。元より、車の移動のお願いなどは出ていなかったけれど(移動する場所もないし)、ああ、これはうち探索四十 邪教の車がない方が作業がしやすいだろうなと思い、部屋には戻らず、そのまま車で出かけることにした。

頭が少し痛かった。
痛かったけれども、買い物がないこともなかったので、少し離れたイオンまで行き、駐車料金が無料の時間を過ごした。帰る途中でホームセンターに寄ることも考えたけれど、疲れたし、そろそろ4時も過ぎるので作業も終わる頃だろうと思ってどんどん家路を急いだ。とにかくもう帰りたかった。

ところが、マンションに着いて側道から覗いてみると、我が駐車スペースにはトラックが横付けされ、今正に、切った枝枝を積み込んでいるところだった。うちの車がないおかげで、ちょうどいい作業場所になったんだろう。小雨の降る中、何人もの作業服の人が、あっちからもこっちからも両腕に枝を運んでくる。うぬ、うぬぬ。

ここで待つと、往来の邪魔になりかねないし、「終わるの待ってます」感も伝わりにくい。さりとて車を降りて、ちょっとトラックをどかしてください、そこに停めたいんで……と言いに行く探索四十 邪教のも面倒、いや、申し訳ない、いや、面倒。

じゃ、いいや、幸い買い物した中に傷む心配のある生モノもないし、このまままた、ホームセンターに行って来よう。どうせあと少しだろう。頭痛いけどさーと思いながら、ぐるりと回ってホームセンターに行き、特に何を買うでもなく、草花を見て帰って来た。よしよし、もうトラックはないぞ。

そろりそろりとバックで駐車スペースに向かう。
するとなんと、隣りの車で死角になっていたところに、箒とちりとりが置いてあった。

作業服のおじさんのひとりが慌てて走ってきて、箒とちりとりを取り上げる。
よし、今度こそ大丈夫ねと思ったら、おじさんが何やら言いたそうだから窓を開けると、

「今、ちょうど片付けが終わる所で、あと少し細かい枝が落ちてるんで、ちょちょっとここ、掃かせてもらうときれいになるんですよねー」


いや、知ってるよ、ずっと作業してた探索四十 邪教の知ってるよ、トラック置いてたから汚れたんだよね、ここ。
「あ、いいですよー、待ちますから」

まるで、今はじめて帰ってきたばっかりみたいな顔をして、なんでもない風にニコニコ微笑んで、エンジンを止めて待つ。
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