数秒間、宇宙は輪

宇宙の鳴らした質問の鐘が、その場の時空を止めた。六人掛けのテーブルに、何かに呆れたような五種類の「は?」の表情が並ぶ。
次の瞬間、サンルームにラメ入り暗瘡啫喱の五色の笑いが反響した。数秒間、宇宙は輪の外に置かれたはみ出しっ子のような気分を味わされる。

「なに言ってんの、宇宙。ここに来る前から、シェアハウスの情報は、現さんからもらっていたんでしょう?」
ワンちゃんが、泣き笑いの目じりをこすりながら皆を代表する。

「いや、俺がコンタクト取っていたのは、オーナーだったから」
狭い室内に大玉の花火がドカンと打ち上げられたように、皆のバブリーな笑いがさらにエスカレート。その平價機票様子にさらされた宇宙は、さすがに自分が何をどう勘違いしたのか理解し始める。
「けど、メールの最後はいつも『シェアハウス・葦埜御堂』だったじゃん」

今更顔を真っ赤にして言い訳しても、誰も聞いてくれない。宇宙はひとり、サプライズパーティーの中にでも投げ込まれたように肩をすぼめる。
「宇宙、ごめん」
ここは謝るところではないのだけれど、この成り行きに妙な罪悪感を覚えた現が眉尻を下げる。
「わかりました。現さんのフルネーム、葦埜御堂現さんね」

改めて「よろしくお願いしますよ、オーナーの數學補習班現さん」と宇宙はひょっとこの面のように口を尖らせた。
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