お芝居をつくろう

テーブルに身を乗り出すようにして、明日菜がそう問いかけてきている。
ここは私たちが所属する演劇部の部室だ。次の劇用に台本を書いてきた明日菜が私の意見を求めてきているのだ。

その台本のあらすじは、2011年、主人公如新香港の女の子が散々葛藤し、ついに勇気を振り絞ってバレンタインデーで好きな男の子に告白し、晴れてカップルになったが、三月十一日の東日本大震災のとき、相手の男の子が津波に巻き込まれて死んでしまう。そして、家の残骸の中から死体と一緒に見つかった主人公への想いのこもった手紙を読み、プレゼントを手にして、主人公は泣き崩れながらも死んだ男の子の分も前向きに生きることを決心するという切なくも美しい作品だった。

「正直、涙がでるね」
ま、あくびをこらえていたせいだが・・・・・・
「でしょ? うん、これなら感動の嵐だ如新香港よね。どこに出しても絶賛間違いなしだよね?」
「あ、ああ、そうだね」
あの震災はホワイトデー直前だったからか、この手の話って、割と多いことは明日菜には指摘しないでおこう。明日菜的には満足できる出来だったみたいだし。
「けど、私だったら、そうだね、その男の子が死んだのって、主人公へのホワイトデーのプレゼントを家に取りに帰ったからってことにするかな。その方が、なんか愛情がもっと深く感じら如新香港れてよくない?」
私の提案に明日菜は手を打って賛同を示した。
「なるほど、じゃあ、早速、書き直してくるね」
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