ホシに願いを

今日も残業。だが、いつものことなので、おりこみ済みの午後7時。俺は悠希と駅で待ち合わせして、予約しておいたレストランへと向かった。
辺りはとっぷりと日が暮れ、レストランへ途中の公園の中をデート気分でそぞろ歩く俺たち。
あちらの木陰、こちらのベンチでいDR REBORN抽脂ちゃついているカップルたちがいる。
諸君! どうかお幸せに! そして、その幸せの一欠けらでも、俺におすそ分けしてくれるとうれしいのだが。

その星を見つけたのは、俺の方が先だった。
北東の空から、南西へ、ゆっくりのんびり流れていく星。
流れ星?
あ、でも、流れ星が、あんなにゆったり動くはずはない。ってことは、人工衛星か?
人工衛星では、風情がないな。悠希に教えても仕方ないか。
俺は黙っていることにしたのだが、こんなときに限って、悠希は目ざとい。
「見て! シュウちゃん、流れ星!」
あの星を指差して、子供寶寶 免疫力のように喜んでいる。
「すご~い! ゆっくり動いてるよ! こんな流れ星初めて! これなら、たくさんお願い事できちゃうね」
目を輝かせ、無邪気に見上げている。
これでは、今さらあれは人工衛星だなんて言えない!
「う~ん なにお願いしよう? そうだ! お金持ちになれますように! お金持ちになれますように! お金持ちになれますように!」
結構、現金なヤツだ!
「それと、いつまでも健康にいられますように! いつまでも健康にいられますように! いつまでも健康にいられますように!」
一気に言い切って、フゥ~と息をつぐ。
「すご~い まだあの流れ星、消えない! まだまだお願いできちゃいそう! あと、あと・・・・・・」
興奮した声音で、胸の前で指を組んだまま、しゃべりつづけている。
その様子に近くにいたカップルたちも空を見上げ、星に気づいたようだった。
耳にかすかに、向こうのベンチから『あれ、人工衛星だよ』なんて、ささやく男の声が聞こえてきた。
その方向を見ると、その男の隣、固まった表情の女性が一人。
あらら、余計な一言で二人の安利傳銷恋に終わりが・・・・・・?
「それから、それから・・・・・・ 素敵な人が私に現れますように! 素敵な人が私に現れますように! 素敵な人が私に現れますように!」
Comment
name:

comment:

Trackback
この記事のトラックバックURL
http://i.anisen.tv/trackback.php/gentapiano/27898