なに色が好き?

オレンジ色のTシャツの背中にデカデカと極彩色で不気味な雰囲気のなにかのキャラクターが描かれ、俺に向かってウィンクしてきているのだ。そのせいで、塾の授業中だというのに、講師の話に集中できない。
一体、この派手な柄のシャツはなんなんだ?
学校でも塾でも同じクラスの茶谷が、こんなの着てるのを見かけたことなんて、今まで一度もなかったのに。


授業が終わり、十分間の休憩時間。周りの席の奴らがジュースなどを買いに部屋を出ていった間に、茶谷のうなじあたりをシャーペンで突いてみた。
「いてぇよ! なんだよ、白石?」
「なにそのシャツ?」
単刀直入に尋ねる俺に、あきらめたようなため息ひとつ。
「気にするな。こっちにもいろいろ事情があるから」
そうは言っても、俺に向かって気持ち悪いウィンクをし続けるヤツが目の前にいることに変わりないわけで。
大体、茶谷自身、格好をつけて言っているが、かなりかまってちゃんな性格。茶谷の言うことを真に受けて、これ以上問いたださないでいると、逆にすねるのは分かりきっている。面倒くさいヤツなのだ。だから、
「事情? どんな?」
やはり、相好を崩して、しゃべり始めるのだった。
って、本当は言いたくてウズウズしてたんじゃねぇか。
「今日、あず姉が第一志望の会社の面接に行ってるんだよ」

「ああ、あずささん」
「そそ。で、今日のあず姉のラッキーカラーとラッキーアイテムが、オレンジでこのキャラのついたアイテム」
「ゲン担ぎってやつか。ん? でも、あずささんのラッキーアイテムなら、お前が着てたら意味ないんでね?」
「バカだな。こんな派手なの、面接のときに着て行けるわけないだろ」
「確かに・・・・・・」
「だから、俺が代わりに着てろってさ」
悲しそうな顔でそんなことをつぶやくのだが、口元緩んでるし、眼尻も垂れてる。こいつ、結構ノリノリでやんの。
「つーか、わざわざTシャツ着てなくても、他のアイテムでもよかったんじゃねぇの? そのキャラついてればいいんだろ?」
「ああ、だから、イエローとブラックのマグカップとか、家にある残りのヤツ全部こっそりカバンに忍ばせて出かけて行ったぜ」
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