もっきり(屋の少女)

「もっきり」とか「もっきり酒」という言葉があります.あります,というかわたし(たち)は使っているのですが,以前東京で友だちと飲んでいるとき日本酒を頼む際,もっきりでの提供なのかと尋ねると,向こう側がきょとんとしている.通じていないよう.こっちは標準語のつもりで使っていたんだけど,どうやらそうではなかったらしい.

その際,友人(東京出身,大学生の頃から数年間仙台在住)と検討した結果,もっきりはどうやら方言らしい,盛り切りからきた言葉だろう,そう結論づけました.
最近,永山久夫の本を読んでいて以下のような記載がありました.

「江戸の町に,けんどんそばが登場するのが寛文四年(1664)頃.「けんどん」というのは,そばに限らず,うどんでも飯,酒でも,一杯ずつの盛りきりにして,客の前の置くだけの商売.現在のそば屋,うどん屋,レストランなどがこのスタイルである.いってみれば,サービスの都市化だ」
「居酒屋に酒の空樽はつきもので,客はその上にじかに,あるいは,樽と樽の間に板を渡し,その上に座って飲む.酒,肴,飯と,いずれも盛りっきり一杯いくらという商い.現在と同じやり方である」
やはり,「盛りきり」,「盛りっきり」で合っていそう.というより,方言とまでは行かないんじゃないだろうか,「盛りきり」の真ん中の「り」がはねてつまっただけだし.
そういえば,最近の子たちが使う言葉で「盛る」があるけど,あれも「盛ってる」なんていうしね.やっぱり,はねるのは普通の変化だと言うことです.
そして,さらに思い出したのが,「もっきり屋の少女」.つげ義春の作品.この作品も舞台は会津であった.やっぱり「もっきり」は東北の方言なのかな.

理不尽の拡大再生産

新幹線の切符事件にホテル事件、更には行きの新幹線(私は必ず喫煙ブースから最も遠い5号車か13号車の最前列か最後列のE→A→D→C→Bの順で指定する)でA席を指定したのに、C席が空いているのにわざわざB席に強烈な体臭と煙草の煙をまとった男性が座ったので具合が悪くなるという不幸に見舞われて超絶不機嫌だった。仕事でも本部の人間が仕切るべきものを仕切らないので仕切りまくり、会議室使用予約を強引に時間限定で割り込んだ連中を脅して追い出したり、体調不良でやりたくないことばかりに当たった。
 カリカリ苛々しながら最終の1本前の新幹線で帰り、日をまたがずに帰宅して土曜日に呼び付けたMさんによる『進撃の巨人化・妖怪体操第一』をやってもらうべく準備をした。休日出勤で午後から職場に行かれるとのことで朝っぱらから呼び付け、サクサクと着せていざ踊れ!となった時に問題が発生した。
 このスーツ、よく出来ているのだが目と鼻の所に穴が空いていないのである。従って目が見えず、息も相当に苦しい。これは、踊らせたら倒れる……。身長185cm、体重は多分75Kg弱(もしかしたらもっと重いかも知れない)の巨人が倒れたら、私では動かせない。仕方がないので踊りは諦め、ポーズ(巨人のポーズとジバニャン捕食)をとらせて写真を撮った。私が着ると『短足の巨人擬』になるが、あれだけ身長があるとぴったり填まるので様になっている。夢に出そうな恐ろしい構図が撮れたのでまずは満足とした。ジッパーに髪が挟まって痛かったらしいが、まあそこは堪えろとばっくれる。理不尽極まりない、かも知れない。
 これが済めば、もうMさんに用はない。仕事の都合もあるだろうから、とサクサク脱がせて仕事モードに戻し、用事を済ませるついでに駅まで送った。Mさんには何の落ち度もないのに、一連の不機嫌騒動によるとばっちりを食らって気の毒だった。

 動画の編集と報告書作成でもするか……と思ってPCを起動し、働きモードになったところでおばば、もとい母から呼び出しを食らった。母が呼び出しをかける時は大抵碌でもない用件である。今度は何だ……。丁度甥に『売ってたら買ってやる』と熊本で約束した妖怪ウォッチのカード整理用ホルダーとジバニャングッズを東京のショップで幾つか買ったところだったのでついでに持って行った。
 夕方遅くに実家に到着したら誰もいない。呼び出しておいて何だ……。ちょっとムッとするがおばばのことなのでどうせ買い物にでも行ってるんだろうと諦めて待った。30分ばかり待ったところで漸く戻って来た。おばばと地頭には勝てぬと諦めて物品を引き渡し、用件を述べろと迫った。
 満面の笑みで「来年の新年会で妖怪体操第一をみんなで踊りたいから、練習用のビデオと流す用の音楽データを作って教えて♪」とおほざきになられた。「ッはあああぁぁぁぁ?!」素で鼻息が漏れた。何をトチ狂ってそんな戯言を……「今、色々な世代の人に大人気だからやってみたい♪」おばば……ペースメーカー装着済みの身体であれを踊るつもりか?結構きついぞ……。悪いことは言わないから止めておけ。
 「折角の機会だから是非やりたいもん♪お姉ちゃん踊れるんでしょ?だから教えてね♪♪」といそいそしている。確かに踊れるが、あれを4番までやったら息が上がる。一体お幾つのご婦人方が踊るのだ……せめて1番だけにしておけ。「やってみてから考える♪」無駄にポジティブになってんじゃねェ!!!
 夜中に帰宅してサイトを漁り、妥当だと思われる動画ファイルをこっそり取り込んだ。それに注釈を付けてビデオを作り、ついでに面白い演出をしているものも幾つか取り込んだ。ここは私の好みである。ゾンビーズによる妖怪体操第一はなかなか面白く、溜まった鬱憤が少し晴れた。どうせ習うなら甥に習えば良かろうに……。

 理不尽なことを他人にしたら理不尽な出来事が我が身に起きる。私に被害に遭った時は、加害者にも理不尽な出来事が生じているのかなあ……。そんなことを考えつつ、元喫煙室に通されて以来の理不尽な体調不良に悩む。何とかならんのか、全く……。