『あなたの知らない世界』より恐ろしかった

まだ昭和だった私が小学生の頃。日テレの夏休みの昼番組では、霊体験が再現VTRでオドロオドロシイ怨念色濃い逸話として紹介されていた。確かに怖いもの見たさに刺激されていたが、それ以上に毎回心霊研究家として登場する色白の蝋人形のような新倉イワオさんのほうが怖く、興味深かったりした。
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そんな夏の名物企画『あなたの知らない世界』とともにたまに特集され、私が心霊特集より、新倉さんよりも恐ろしかったのは、失踪者の公開捜索番組。この企画には必ず、人の上半身ほどに拡大されたためか、目の粗い失踪者の写真がスタジオに並べられ、隣にはその肉親の方が神妙な面持ちで立っていた。番組パーソナリティーの男女から肉親が「いつごろ、どのようなかたちで不明になられたんですか?」との問いを受けていた。カメラを見つめる、物言わぬ失踪者の巨大な写真があり、苦しい表情で家族が当時を振り返る。この企画自体、現在では難しいのだろうが、さらに時代を感じさせるのは、プライベートまで徹底して踏み込んだ、ある意味興味本意としか思えない質問の数々。「なにか、家にいたくない理由とかあったんじゃないんですか?」心当たりを肉親が語ると「今、申し訳なく考えているんじゃないんですか?」と、パーソナリティーは検察や裁判官のような口調になる。それに反省するかのように涙する肉親。とくに幼いなりに忘れられなかったのは「身体的な特徴はありますか?」とのスタジオの問いに、女性の失踪者を前にした夫か父親かが「ああ…脇腹に大きなほくろがあります」と話すと、「それは裸にならないとわからないですよ!」と返され、若干スタジオに笑いが起きたことだった。
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当然のごとくモノクロのまま表情を変えずに、カメラからテレビのブラウン管ごしに私を見つめる失踪者の写真。今、どこで、何を思い、テレビに姿をさらされているのだろう?思えばさっき、我が家に訪れた新聞の集金の男性、またヤクルト売りのおばちゃん…「この写真の人たちに似てないか?」思い起こすほどにどんどんテレビの前の写真と顔が一致してくる…何があったのか?自分は、子供の私には想像もできない事情が存在しえるのか?大人になることも恐ろしく感じられた。