同窓会へ

中学を卒業以来だから、10年ぶりに昔の仲間たちと再会することになる。
このまま電車を乗り継ぎ、最寄駅から会場まで徒歩で五分。あと、二十分弱ほどで到着するだろうか。

午後の比較的空いている時間帯。七人掛けの長い座席の一番隅、すぐ隣が出入り口という場所に腰かけ、俺はスマホのメール画面を眺めていた。
俺の座る座席には三人しか座っておらず、隣の人間との間には二人分ほどのスペースがある。
ふと、スマホから視線を外し、向かいの座席に眼を向ける。
向かいの席にも、似たような状況で、座席には両端に一人ずつしか座っておらず、俺の真向かいに文庫本を読んでいる女性がいる。
あ、一瞬、眼が合った。だが、途端に文庫本に視線を戻した。
眼鏡をかけていて、つやつやした黒く長い髪を一つにまとめて肩口から前に垂らしている。薄い緑のゆったりとしたワンピースに薄いピンクのカーディガンを羽織ってヒールのない靴をはいた姿は、とても地味で落ち着いた印象だ。
年のころは、俺と同じ二十代中ごろだろうか。

同じ年頃か・・・・・・
確か、俺が電車の乗った時には、すでに向かいに座っていた気がする。まさかな。いくらなんでも、ないよな。

そう結論付け、もう一度スマホの画面に視線を戻したのだが、なぜだか、じっと誰だかに見られているような気がしてそちらに眼をやると前の女性だった。
俺が視線を上げたものだから、慌てた様子で文庫本に視線を戻していた。

もしかして、知り合いか? けど、あんな女性に知り合いなんて・・・・・・

思い立って、目の前の女性の眼鏡を取り除き、髪をショートにし、そして、顔立ちを幼くした姿を思い描いてみる。

ら顔を上げた

次の休み時間、小西さんが、オレの隣の席の吉野に近づいてくる。
何かを決心したかのように表情を引き締め、胸の前でぎゅっとこぶしを握っている。
「あ、あの、よ、吉野香港服务式公寓くん・・・・・・?」
「ん? なに、小西さん?」
「あ、え、えっと・・・・・・」
一度、うつむき、肩を震わす。いつしか、そのただならない様子に、オレたちの周囲の連中全員の視線が集まってきている。
やがて、泣きそうになりながら顔を上げた。
「あ、あの、吉野くん・・・・・・」

そこで言葉を詰まらせ、なかなかその続きが言い出せないようだ。
オレの前の席で文香が小さく『がんばれ』とつぶやいているのが聞こえてくる。周りの連中も息を止めて見入っている。
だが、そんな空気にすら全然気が付いていない男がこの場に一人いて。
「あのさ? 俺に何か用? 用がないんだったら、後でいいかな? 俺、ちょっとこれから用事あるからさ」
「えっ? あ、えっと・・・・・・ どぞ」
たちまち周囲に張りつめていた緊張牛熊證打靶の糸がほどけた。顔をそらせた小西さんの眼の端に水滴が浮かんでいる。
――なにやってんだよ、吉野よぉ

思わず、吉野を睨んでしまうのだが、それは周囲のギャラリーたちも同じようで、
「ああ、よしのぉ~」「空気よもうよぉ」「よ・し・のぉ~」
失望の声がちらほらと。
そんなアウェーな空気の中で当の吉野はというと、さっさと席を立って教室を出ていくのだった。

小西さんは自分の席に悄然と座って肩を落としている。そして、文香が励ますように、その背をやさしくなでていた。
「文香、ちょっといいか?」
「なによ?」
オレが無言でスマホの画面を見せると、文香が憤慨した顔をして、オレを睨んできた。
――って、なんで俺が怒られてるみたいになってるの?
釈然としない気分で、nu skin 如新
とりあえず、今きたメールに返信をしておいた。
『なにが、『こういうのは男から切り出すものだろ?』だ。そう思うなら、さっさと自分から訊け。さもないと、もうすぐ夏休みだから、一か月以上会えなくなるぞ』