先立つもの・・辛い友の言葉

忌中挨拶のハガキが届く・・年が押し詰まってのご不幸に言葉がない

それも一人息子を亡くした・・・

何故だ、あんなに自慢の息子を何故亡くしたのか・・

早速、電話を入れる、どんなに気落ちしているだろうかと心配になる・・

受話器に出る友の憔悴しきった声に言葉が詰まる

私の声を聞いて突然むせび泣く友に何と声を掛ければいいのか・・・
ガンの発見から入院するまで数ヶ月、仕事を投げ出すことが出来ず手術の時は既に手遅れだったと・・・

残された家族や友の心中を考えると無念でならない、子供に先立たれる辛さは幾ばかりか・・
私は携帯を握り締め、震えながら涙がとめどなく零れ落ちる

私の異変に陽子が近づき私の腕を取って肩に頭を預けてくる
何よりも私は友を失うことに耐えられない・・まして子供に先立たれるなどあってはならない・・・
電話を終わって陽子の肩を抱き、友の心境に寄り添いながらも私たちの健康に
感謝した

これからの人生・・・何より健康に過ごすことが一番大事なのだろう

前向きに生きることは健康であることが前提なのだから・・
香と陽子はキッチンに立ち夕食の後片付けをやっている・・この二人が同じキッチンで洗い物や食器を片付ける姿は誰が想像できようか・・・

目立ってきた香のお腹、とても愛おしく感じる

先立つものもいれば、これから生を受ける命もある・・

こうして世代が交代し、歴史が作られていくのだろう

私の家族だって例外ではない・・・でもその家族は普通でない構成である
生まれ来る命に堂々と、父親を名乗れるよう今から覚悟しておく必要があるだろう・・・
三便宝
三體牛鞭

秘め事は苦手

約束は守るのが私の信条
嘘をつかないとは言えないが
嘘は嫌いだ

だから隠し事も苦手


人の噂に耳は貸さない

先入観を持つのも嫌だけど

何より秘め事を知ってしまえば
嘘をつかなければならなくなるから


望まなくてもそんな環境に置かれることもあるのが現実

「ほかの人に言ってはいけないよ」

嫌いな言葉

嘘をつかざるをえなくする呪文


3ヶ月の欧州出張を応諾した時から
覚悟はできていた


フランクに話のできる部長がわざわざ来賓用の部屋に私を呼んだ


17年か。。。


生まれてから高校生なるほどの期間を同じ部署で過ごしたことになる
グループ名を変え、部名を変え、そして社名も変わった

それでも私は同じ部門の中に在り続けた

年長者からも『古参』扱いされるのも致し方ない


「中国に行ってほしい」


行先も想定通り


中国

日本、米国に続き第3の重要拠点に格上げしたばかりの国だ


財務、会計、税務を広範に理解している人材が欲しい

中国子会社からの人材要請の書類が差し出された

私は理解した
この書類が誰によって書かれたかを

そして彼は私を知っている

この内容では私を名指ししているようなものだ


「実は1年以上前から来ていたオファーなんだ」



私と部長の間には信頼関係がある
少なくとも私はそう思っている

だから余計な詮索や交渉は必要ないと思った


「分かりました」

私はそう答えた


これでドイツ・オフィスで働く夢もしばらくお預けか。。。
と言うより、だいぶ可能性が減ったな。。。


スタッフの何人かとはメールでやり取りしているのに
私はいつ何て言えば良いのだろう


そして、3か月間私を待ち望んでくれた子供たち
彼らとどんな顔で生活していこう


仕事や生活の苦労よりも
そんなことが先に頭によぎった。。。


でもこのことはまだ会社では言ってはならない
だからここでそっとぼやくことにした

ここで抱きしめたいひと

この世界にひとり取り残されたような
そんな気がして感じてしまう

………「孤独」

そんな時はぎゅっと
自身を抱きしめるのです
そして…
その瞳から思いの粒を
たくさん溢すのです
笑顔になれるその時まで
いっぱい…いっぱい…
泣いてみるのです

寂しさ思う時もあるよ
…誰でも
ひとり居た堪れなくなるよ
…誰しも
悲しみもあれば喜びもあるよ
…誰もかも
誰もがこの世界でたった
「ひ・と・り」のひとなのだから

だけど…
あなた自身の瞳で見る風景は
決して暗闇ばかりではないはず

光射し込む時に映る
その景色のなかにいつもいる
懐かしきひとたち

「強くなくていいのだよ
ひとはみんな弱いものだから」
そんなことを言いながら
励ましてくれるのです
頷きながら
優しき微笑みをくれるのです

だから自分も
微笑んでみせるのです
明日の自分に
微笑んでみせるのです

「明日はきっといいことあるさ!」
…そんなことを感じながら

天天素
三便宝