夜釣り
世の中の多くのヒトは、霊の存在を信じていないことでしょう。
アフリカ超人私もその一人。
でも、存在すると信じているヒトを否定したり、故人を冒涜したりはしませんよ。
静岡に来てから知り合った方の中に、霊の存在を全く認めない方がいます。
怖いからなのか、何なのか、とにかくその手の話は御法度な彼です。
一昨日、ちょっとした会合がありまして、彼とも久しぶりに顔を合わせました。
釣り好きな彼の参加する会合では、もっぱら釣り談義に花が咲きます。
私は静岡に来てから釣りをすることが無いので、話を聞いているだけなんですけどね。
彼と他の2人で話が盛り上がりまして、今夜、夜釣りでもしに行こうではないかということになりました。
水曜日ですし、私と他の者は早々と帰路についたんですが、3人は釣り竿を取りに行ってから、海まで釣りをしに行ったそうです。
海岸通りには道路に面して防波堤があり、その先に波除けのテトラポットが置かれています。
彼らは明るい防波堤から暗闇のテトラポットの方へ向かい、それぞれに適当な場所に陣取って釣りを始めたそうです。
2人は彼を一人にして怖がらせるつもりだったようで、しばらくして防波堤まで戻ってきました。
防波堤からテトラポッドを見ると、暗闇の中に彼の姿が浮かび上がっています。
その少し横に、もう一人帽子を被った影。どうやら彼と同じブロックで夜釣りを楽しんでいるヒトがいるようでした。
それでは怖がらせる計画も台無しなので、自分達も釣りをしようと彼のブロックへ向かったそうです。
ところが、近付いてみると彼しかいません。
防波堤を振り返ってみると、逆光でよくわかりませんが、防波堤へ戻るヒトらしき姿があるようにも思えました。
2人は気になって、もう一度防波堤の方へと向かいました。
中国精力剤防波堤へ着くと、帽子を被った一人の老人がタバコを吸っていました。
(なんだ、生きている人間じゃん)と、彼らは思ったそうです。
彼らの顔を見た老人は、「どうだい、釣れるかい?」と聞いてきました。
「全然ダメですよ。お父さんはどうですか?」と聞き返すと、老人はタバコを持つ手を小さく横に振って、「オレは魚釣りなんかしてねぇよ」と。
でもさっきテトラポットの方に居た事を聞いてみると、老人は足をあげて見せ、ツルツルのサンダルでどうやって行くんだと、笑ったそうです。
「あれ、あんちゃん達のツレじゃないのか?」
薄笑いを浮かべた老人が指差した先には、テトラポットに腰掛ける彼と、彼に近付こうとするヒトらしき影が見えました。
なんだか嫌な感じがしたので、2人は大声を出して釣りをしている彼を呼びましたが、波音でかき消されて聞こえないようでした。
とにかく急いでテトラポットへ向かう2人。
彼の元へ着くと彼は、波を頭から被って気を失い、どうやら失禁していたようです。
振り向いた防波堤には、既に老人の姿はありません。
ともかく、朦朧とする彼を連れて防波堤へと戻る他ありません。
防波堤へ辿りつき、テトラポッドの方に目をやると、ちょうど通ったトラックのヘッドライトに照らされて、先程の老人が手を振っているのが見えました。
「危ないよ~」と声を掛けましたが、闇に包まれたテトラポットの上には、ヒトの姿を見付けることはできませんでした。
ちょうどその時、南米で地震があったと連絡が入ったので、2人は老人にも津波の危険性を伝えようと、もう一度テトラポットへ向かおうとしましたが、彼がそれを止めました。
「俺達の他に誰もいない。」
2人が、次に通った車のライトで目にしたのは、帽子を被って服を着ているものの、顔に眼球や鼻の無い、いわゆる骸骨に近い状態のモノが、波に飲まれる瞬間だったそうです。
・・・という話を、一人から今朝、聞かされました。
台風が増えるこの時期、このエリアでは釣りや散歩途中に高波に飲まれて亡くなった方が大勢います。
紅蜘蛛彼がもし、亡くなった方を冒涜するような者であったのならば、波に飲まれたのは彼だったのかもしれませんね。
アフリカ超人私もその一人。
でも、存在すると信じているヒトを否定したり、故人を冒涜したりはしませんよ。
静岡に来てから知り合った方の中に、霊の存在を全く認めない方がいます。
怖いからなのか、何なのか、とにかくその手の話は御法度な彼です。
一昨日、ちょっとした会合がありまして、彼とも久しぶりに顔を合わせました。
釣り好きな彼の参加する会合では、もっぱら釣り談義に花が咲きます。
私は静岡に来てから釣りをすることが無いので、話を聞いているだけなんですけどね。
彼と他の2人で話が盛り上がりまして、今夜、夜釣りでもしに行こうではないかということになりました。
水曜日ですし、私と他の者は早々と帰路についたんですが、3人は釣り竿を取りに行ってから、海まで釣りをしに行ったそうです。
海岸通りには道路に面して防波堤があり、その先に波除けのテトラポットが置かれています。
彼らは明るい防波堤から暗闇のテトラポットの方へ向かい、それぞれに適当な場所に陣取って釣りを始めたそうです。
2人は彼を一人にして怖がらせるつもりだったようで、しばらくして防波堤まで戻ってきました。
防波堤からテトラポッドを見ると、暗闇の中に彼の姿が浮かび上がっています。
その少し横に、もう一人帽子を被った影。どうやら彼と同じブロックで夜釣りを楽しんでいるヒトがいるようでした。
それでは怖がらせる計画も台無しなので、自分達も釣りをしようと彼のブロックへ向かったそうです。
ところが、近付いてみると彼しかいません。
防波堤を振り返ってみると、逆光でよくわかりませんが、防波堤へ戻るヒトらしき姿があるようにも思えました。
2人は気になって、もう一度防波堤の方へと向かいました。
中国精力剤防波堤へ着くと、帽子を被った一人の老人がタバコを吸っていました。
(なんだ、生きている人間じゃん)と、彼らは思ったそうです。
彼らの顔を見た老人は、「どうだい、釣れるかい?」と聞いてきました。
「全然ダメですよ。お父さんはどうですか?」と聞き返すと、老人はタバコを持つ手を小さく横に振って、「オレは魚釣りなんかしてねぇよ」と。
でもさっきテトラポットの方に居た事を聞いてみると、老人は足をあげて見せ、ツルツルのサンダルでどうやって行くんだと、笑ったそうです。
「あれ、あんちゃん達のツレじゃないのか?」
薄笑いを浮かべた老人が指差した先には、テトラポットに腰掛ける彼と、彼に近付こうとするヒトらしき影が見えました。
なんだか嫌な感じがしたので、2人は大声を出して釣りをしている彼を呼びましたが、波音でかき消されて聞こえないようでした。
とにかく急いでテトラポットへ向かう2人。
彼の元へ着くと彼は、波を頭から被って気を失い、どうやら失禁していたようです。
振り向いた防波堤には、既に老人の姿はありません。
ともかく、朦朧とする彼を連れて防波堤へと戻る他ありません。
防波堤へ辿りつき、テトラポッドの方に目をやると、ちょうど通ったトラックのヘッドライトに照らされて、先程の老人が手を振っているのが見えました。
「危ないよ~」と声を掛けましたが、闇に包まれたテトラポットの上には、ヒトの姿を見付けることはできませんでした。
ちょうどその時、南米で地震があったと連絡が入ったので、2人は老人にも津波の危険性を伝えようと、もう一度テトラポットへ向かおうとしましたが、彼がそれを止めました。
「俺達の他に誰もいない。」
2人が、次に通った車のライトで目にしたのは、帽子を被って服を着ているものの、顔に眼球や鼻の無い、いわゆる骸骨に近い状態のモノが、波に飲まれる瞬間だったそうです。
・・・という話を、一人から今朝、聞かされました。
台風が増えるこの時期、このエリアでは釣りや散歩途中に高波に飲まれて亡くなった方が大勢います。
紅蜘蛛彼がもし、亡くなった方を冒涜するような者であったのならば、波に飲まれたのは彼だったのかもしれませんね。
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- 2015-10-13 12:24:33