「アップルストア」が間もなく消滅 改称に隠された戦略とは

アップルが各国で展開する直営店舗「アップルストア」が、その名前を変えようとしている。サンフランシスコの旗艦店は以前から「アップル・ユニオンスクエア」と呼ばれていたが、間もなく他の店舗の名称も「アップル5番街」や「アップル○○町」といった「社名+場所」の形式に改められ、「ストア」は店舗名から消える予定だ。

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アップルはなぜ、ささいにも思える名称変更をわざわざ行うのだろうか。実は、このわずか1単語の変更には、見た目以上の意味が隠されている。

小売業界には大きな変化が訪れていることは、既にご承知の通りだ。実店舗は将来的にオンラインストアに取って代わられ、無用の長物となるとの見方も出ている。私はその見解には同意しないが、実店舗が大きな課題に直面していることは事実だ。

アップルストアの改称から見えてくるのは、アップルが実店舗を単なる「店」ではなく、商品の購入以上の役割を担う場所として位置付けている、ということだ。アップルストアは既に、専門的なサポートを受けたり、新製品を手に取ったりする場所となっているが、将来的には、顧客が製品の使い方に限らずさまざまなレクチャーを受けたり、イベントに参加したり、友達と一緒に時間を過ごしたりする場所になる見込みだ。商品の購入はそうした役割の一つにしか過ぎない。

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これは、小売業で進む大きな変化の一つだ。アップルをはじめとするしたたかな企業は、スマートフォンが普及した今、商品の購入、特にIT機器の購入のために実店舗を訪れる必要性が薄れていることを認識しており、今後、自店舗の焦点を販売からエンターテインメントへと移すだろう。この方針転換に成功した企業は、自社ブランドと消費者の間により深い関係を構築し、実店舗と仮想店舗の双方で売り上げを伸ばすことができる。
小売業の未来は銀座にあり

未来の小売業は、どんな姿をしているのだろうか。的確に言い当てることは誰にもできないが、私の見解を言わせてもらえば、東京・銀座やニューヨーク、ロンドンに店舗を構える「ドーバーストリートマーケット」こそが、現在の小売業界で最も未来的なビジョンを提供している場所だ。

ドーバーストリートマーケットがユニークなのは、来店者の目を引き、笑顔をこぼさせるような工夫が、店舗の隅々に施されている点だ。主な販売商品はファッション製品で、大部分が女性向けだが、男性向けも用意されている。ファッションに全く興味がなくても、そして何も買わなくても楽しめる店作りになっている。他の店とは比べ物にならないほど客の心をつかむ手法は、他の小売業者も見習うべきだ。

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未来の小売業について、一つだけ確かなことがある。それは、実店舗であろうとウェブサイトやアプリであろうと、客をもっと楽しませることによって、集客力を高め、商品の購入やリピートにつなげる必要があるということだ。アップルが実店舗にさまざまな役割を持たせる必要性を理解しているのは明らかだ。将来的に、多くの小売業者が店舗に面白味を持たせる方向に動き、それができない者は淘汰されるだろう。消費者にとっては、なじみのある店が消えていく寂しさはあるものの、生き残った店はそれよりはるかに楽しく、面白い場所になるはずだ。
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