夏と金魚と優しい時間

日本橋って所は
やたらと建物がデカくて
道が広くて街が整っている
エレガントさと横柄さが
共存してるような街だ

いわゆる
ブルジョワジーってヤツ

でも、たまにそんなトコを
歩くのも悪くない

君は長いヒールを
コツコツいわせ
キョロキョロしてる

いつもならすぐ
歩きたくないって
いうくせに

ちょっと
周りの雰囲気に酔うと
借りてきたネコのように
おとなしくなる

そういうトコ
好きだよ

うす暗い部屋の中で
白や青やピンクに輝く水槽

グラスとレンズに囲まれて
ミラーボールの下で
踊る金魚たち

口をパクパクして
何を言ってるの?

待遇改善でも
要求してるのか?

イヤになったら
夜中にこっそり逃げちゃえよ

ほら、あれ、夜逃げ屋本舗
あそこに頼むといいらしいぜ

こっちに向いてた金魚に
そんな話を聞かせてたら

ツマラナイと言って
彼女は、そそくさと
出口に向かった

気に入らない事があると
いつもこうなんだ

金魚に向かって
ヤレヤレと首をかしげた

金魚も苦笑いしてた

夏も終わりが近いのか
海が近いせいなのか
少し強めの風が気持ちいい

「ごめん
 閉じ込められるの
 嫌いなんだ」

彼女の表情には
微かな申し訳無さが
含まれてた

分かってるよ
君がアレを見て
どう感じたかなんて

僕は君の
そういう所が
好きなんだから

「晩御飯は
 何にいたしましょう
 お嬢様」

胸に手を当て
大袈裟にお辞儀した

「良きにはからえ」
巨人倍増:http://www.hakanpo.com/p/pro138.html
三體牛鞭:http://www.hakanpo.com/p/pro331.html
それ、お嬢様じゃなくて
お殿様になってない?

まっ、それでいいさ
君が笑ってくれるなら