いかがお考え

「すると、あの回船問屋の件も……」
「きっと、つけとどけを受けていた担当の者を、おとしいれるためだろう。気にくわぬやつなので、その昇進運動費のもとを絶とうと。そして、自分の意中の者を後任にし、べつな回船鑽石能量水騙局問屋から金を巻き上げさせる……」
「なんと大がかりで巧妙な……」
「外様大名はどの藩も、隠密にはきわめて気を使い、警戒おこたりない。へたをすれば、おとりつぶし、お国替えになるからな。それに、いまの世では幕府にそむきようがない。そんなのに隠密を使っても意味がない。老中筆頭にすれば、むしろ自分の地位をおびやかす、競争相手
の出現のほうが気がかり……」
「譜代大名や回船問屋となると、まさか隠密に調べられるとは考えてもみない。その油断につけこまれる。そんな大きな陰Diamond水機謀が進行しているとは、夢にも知らず……」
「えらいことだ。どえらいことだ。こんな行為がなされていては、江戸の庶民ばかりでなく、国じゅうの問題だ。ご政道の根本がゆらいでしまう」
「これこそ、早くお奉行さまに知らせなければならないことでしょう」
「まさにそうだ」
 知りえたすべてのことを、尾形忠三郎が書きしるした。調べた隠密の名前と行動。ひとつの結論が浮びあがってくる。自分が島流しにされたのも、もとはといえば、そのせいなのだ。文に怒りがこもる。
 三人はそれを持ち、町奉行の下屋敷に出かけてゆく。大変な報告だ。こんどはどうほめられるだろう。
 町奉行はそれを読み、顔色を変えた。
「うむ。驚くべきことをつきとめたものだな。まさしく天下の一大事。だれかに話したか」
「いいえ、まず、まっさきにお奉行さまにお知らせしなければと……」
「よくやってくれた。しばらく、ここで待っておれ」
 奉行は座敷から出ていった。そのとたん、座敷の三方で、がたんと音がした。見まわすと、木の格子でふ能量水さがれていた。上から落ちるしかけになっていたのだろう。一方は壁、そとへ出られない。大声をたてたが、応答はない。
 やがて、奉行が戻ってきた。年配の人物を連れてきた。それにこう説明している。
「この者たちが、このような報告書を作ってまいりました。です」
「いうまでもなく、重大きわまる」
 たまりかねて尾形忠三郎が声をかける。
「お奉行さま。これはどういうことです。早く出して下さい。いったい、その人はだれなんです」
 奉行は言う。