タイムトリップ

エレベーターを降りると、昭和30~40年代にタイムスリップしたような錯覚に陥る。古めかしいエントランスからホールに入ると、その印象はガラリと変わる。両サイドが緩やかに膨らんだ曲線状の美しいフォルム。壮観さに息を飲む。

収容1100人のよみうりホールは、どこから観ても観やすく設計されており、落語の他にも音楽や映画など幅広い用途に使用されている。ミューザ川崎や千葉県文化会館など部分的に似た構造の建物も多く、同ホールのクオリティの高さを物語る。

また、ホールで一際目立つのが、横山大観作「富士山」の緞帳。 雲間に顔を出す壮麗な姿が、ホールの雰囲気によく合う。

ホールを一歩出て階段を1階降りると、ビックカメラの華やかな装飾と軽妙な宣伝音楽によって、一気に現実へと引き戻される。雑多な感じが、いかにも有楽町的で嫌いじゃない。

外に出て、東京駅方面に歩き始める。東京国際フォーラムを過ぎて、丸の内ビル群が目に入ると、まさに別世界。数分前に落語を聞いていたのが嘘のようだ。

アナログとデジタル世界の連綿とした繋がりを経て、新幹線で約2時間後には長野へ。タイムトリップに出掛けたような1日だった。
五便宝
蟻力神
紅蜘蛛