新生プリウス、脱エコカーに壁 新設計手法の狙いに狂いも

ある国内販売店の話では、プリウス購入者の7割以上が残価設定クレジット(残クレ)を利用し、うち約3割が新車に買い替えており、今回も「その3割が買い替えてくれれば」と期待を寄せる。事前予約も堅調で、「あとはプリウス以外のトヨタ車や他メーカーからの乗り換えをどこまで促せるかが勝負」と話す。

残クレとは新車価格の一部をあらかじめ残価(下取り価格)として設定し、たとえば3年のローンで新車と下取りの価格差を支払う方法で、顧客は3年後に所有車をそのまま購入するか売るか、新車に乗り換えるかの3択から選ぶ。プリウスの場合、3年前に設定した中古車価格は3年後高くなることが多く、新車に買い替える確度が高い。
RU486ただ、ユーザーからは厳しい声も上がる。「いかにもデザインしましたという感じ。高齢者にはちょっと派手過ぎる」。千葉県在住の渡辺正明さん(67)は新型車の印象をこう語り、「プリウスは安全性と燃費を追求してくれれば十分」と話す。「初代プリウスを乗り続けて10年以上になるが、まだ乗れるので新型車は購入しない」という。

「前よりカッコいい。シャープで早く走れそう」。車好きを自認する東京都在住の渡辺弘一さん(35)は新型車に好印象を持つが、やはり購入はしないという。都心の生活に車は不要と2年前に現行の3代目プリウスを手放した。新型プリウスには関心があるものの、駐車場代など車を所有する金銭的な負担を上回る魅力があるとは考えていない。

独立系調査会社TIWの高田悟シニアアナリストは「トヨタの狙いは空振りする恐れがある。走りやデザインを求める客はもっと趣味の色が強い別の車を選ぶ」と予想する。「トヨタ車は長く乗っても壊れず、海外でも中古車価格は高い。燃費や安全性に惹かれる堅実な客や既存ユーザーは取り込めるため、販売が苦戦するとは思わないが、新たな顧客獲得は難しいのでは」とみている。
夜夜堅
新型プリウスは来年、海外でも発売され、プラグインハイブリッドタイプも投入するが、ガソリン安の逆境下ではHVも選好されにくく、どれだけ販売を伸ばせるかが課題だ。「安全と燃費」だけから「走りとデザイン」への脱皮で、どこまで顧客をいい意味で裏切るのか。トヨタの挑戦が吉と出るかどうかプリウスで初めて試される。

絶滅危惧種サイガが大量死、生息数が半減

中央アジアの大草原に暮らす偶蹄類の一種「サイガ」が今春、謎の伝染病によって大量死したことが、先週ウズベキスタンで開かれた会議で報告された。カザフスタンで発生したこの大量死による死亡数は全個体の半数にのぼり、その死体が何キロにもわたって草原に点在している状態という。

 コミカルな外見にもかかわらず、サイガは知名度が低い。大きさはヤギと同程度で、ゾウの鼻を短くしたような、柔らかい長鼻をもつ。米国農務省国立野生生物研究センターでサイガを研究する生物学者のジュリー・ヤング氏は、サイガがあまりにも知られていないため、研究内容をいつでも説明できるよう、写真を財布に入れて持ち歩いていたことがある。「ほとんどの人が、一度も聞いたことがないんです」
大草原を駆け回る掃除機

 その不格好な鼻は、何のためにあるのだろう。
威哥王
 ある研究チームが2004年にサイガの鼻を切断してスキャンした結果、内部には大きな空間があることがわかった。これは、空気を肺に吸い込む前に「浄化」する機能を持っていると考えられている。砂の嵐を巻き起こしながら大群で移動する際に、より効率的な呼吸を可能にしているのだろう。

 また、長鼻がコミュニケーションや交尾相手の選択にも役立っていることを示す証拠が見つかっている。ホエザルやコアラのオスと同様、サイガのオスが鼻から発する大きなうなり声は、身体の大きさを主張するためであり、求愛の役に立つと考えられている。

 うなり声で勝敗がつかなければ、長いネジのような角で繁殖権をめぐって争う。成功を収めたオスは、最高50頭ものメスとハーレムを形成する。メスはそれぞれ、双子を産むことが多い。

 サイガの鼻には、もう1つ興味深い点がある。彼らは、鼻を地面に近づけて走るのだ。「大草原を駆け回る掃除機みたいと、よくジョークを言ったものです」
厳しい未来
妊娠中絶薬
 かつてはヨーロッパのブリテン諸島から北米のユーコンまで広く見られたサイガだが、その未来は厳しそうだ。

 サイガ(Saiga tatarica)は、今春の大量死以前から、国際自然保護連合(IUCN)によって近絶滅種(critically endangered)に指定されていた。IUCNによると、現在の個体数は世界で約5万頭と推定されており、1970年代中盤の125万頭から大きく減少している。

 今春は未知の病気による大量死があったものの、依然として最大の脅威は狩猟である。食用としてだけでなく、その角が漢方薬として解熱や悪霊追放に効くとされ、珍重されているのだ。保護の努力により個体数は回復しつつあるものの、オスの数が足りない状態が続いている。

 ヤング氏は、モンゴルにすむ亜種、Saiga tatarica mongolicaが大量死を経験していないことだけが唯一の朗報だと言う。しかし、そのモンゴルの亜種もIUCNの絶滅危惧種(endangered)に指定されており、数千頭を残すのみ。そのため、同様の伝染病に見舞われたら生き延びることは困難であろうとヤング氏は述べている。