悔するようになりま

ああ、彼女が去ってゆく。僕から去ってゆく。悲しい悲しいいつもの別れのときがやって来る。中学時代より愛してきた僕の(僕の単なる悲しい片思いにすぎないのではあったけど)あの悲しいクリスマスの夜の再現のような気もしたし、あのクリスマスの夜からの桃子さんが僕の親友に走ったという怒涛のような悲しみは。ああ、どうなってしまうんだ。

                       

 僕はステラの前で今日合コンする女の子たちを待っているとき、何年ぶりだろう、桃子さんにそっくりの女性が歩いてきて僕らの横を通り過ぎたことをもう薄暗くなった人混みの中で朧ろに気づいた。僕は桃子さんが通り過ぎたのだと思っていた。そして桃子さんではなくて桃子さんによく似た女性をクリスマスイブの夕暮れだから見まちがったのだろうと勘違いをしていた。そして僕は桃子さんがステラの前に留まり続けていることを一分ほどしてぼんやりと辺りを見回したときに気づいた。でも僕は桃子さんではないと思っていた。僕はまだ桃子さんに似た別の女性だと思っていた。

 やがて僕らが丸山のファニービーチへ向かって歩き始めたとき、僕は何度か振り返って桃子さんによく似ていると思っていた女性が僕らと同じ方向に歩いているのを知って不思議な気がした。僕の頭は夕暮れであることもあって朦朧となってきていた。それに人混みがますます僕の頭を朦朧とさせていた。

『夢のような、夢のような話ね』

『ええ、でも僕は桃子さんを好きでした。中学3年の頃からずっと。僕はひたすら桃子さんを思いつづけてきました。そしてようやく桃子さんのことを忘れかけていたこの大学二年の冬に桃子さんと偶然巡り会えるなんて。運命の、不思議な導きのような気がしてなりません。

 桃子さんは僕をいつまで苦しめつづけるのでしょうか。僕は桃子さんゆえに浪人までして目指していた九医を蹴って毎日桃子さんと会えるようにと長医にしました。そして大学に入ってまもなく僕は九医に行ってれば良かったとものすごく後した。そして僕はすでに大学一年のとき教養留年が決ってしまいました』