ありがたいんだがな

「少しばかり荒れてるようだがな」グレルディクは無関心なようすで肩をすくめた。かれは窓の外で十二フィートもの大波が凍てつく石の波止場に打ち寄せ、緑色の泡の飛沫となって飛び散るさまをじっと眺めた。「なあに、いったん防波堤の外に出てしまえば、どうってことはない」
「それでは明日の朝出発することにしよう」ベルガラスが決断を下した。「二十人ばかりが乗りこむことになるが、それだけの場所があるかね」
「それは何とかしよう。だが今回は馬を乗せるのは願い下げにしたいな。この前は船倉をきれいにするのに一週間もかかっちまった」
「今回は一頭だけだ」ベルガラスが答えた。「ガリオンにやけになついてる子馬がおってな。まあそいつだけならどうってこともないだろう。何か必要なものはあるか」
「酒を一杯もらえると」グレルディクはものほしそうに答えた。
 次の朝、センダリアの王妃はひどいヒステリー状態におちいった。リヴァへ向かう一行に自分も同行するのだと知ったとたん、ライラ王妃はほとんど半狂乱になった。フルラク王のぽってりした妻はいかに穏やかな天候のもとであろうと、船旅に非常な恐怖を抱いており、船を見たとたんぶるぶる震えだすありさまだった。ポルガラから同行を告げられたライラ王妃はその場にへなへなとくずおれた。
「だいじょうぶ、何ともないわよ」ポルガラは興奮する王妃を少しでもなだめようと、何度も同じ言葉をくり返さなければならなかった。「わたしがずっとついてて何も起こらないようにするから」
「わたしたちみんな、ねずみみたいに溺れ死ぬんだわ」ライラ王妃は激しい恐怖に泣き叫びながら言った。「ああ、わたしの子供たちはみなし子になってしまうんだわ」
「もういいかげんにおよしなさい!」ポルガラがたしなめた。
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