救えなかった 自責の念
◇プール死亡1年 保育士「事故と向き合う」
ハーバルビビッド
壮天根
上京区の認可保育所「せいしん幼児園」のプールで水遊び中の榛葉しんば天翔あもうちゃん(当時4歳)が死亡した事故は30日で発生から1年を迎えた。当時、現場にいた2人の女性保育士のうち1人が、同園を通じて読売新聞に心境を明かした。後悔と自責の念にさいなまれ、保育士を辞めようとも考えたが、「事故と向き合ってほしい」という天翔ちゃんの母親の言葉が自らを動かしているという。母親は「辞めることが責任の取り方ではない」と話している。(楢崎基弘)
事故は昨年7月30日、同園屋上のプール(長さ約6メートル、幅約2・5メートル)で起きた。京都市の特別監査に基づく調査報告書では、園児約30人がプールに入り、そばには「監視役」の保育士2人がいた。水遊び開始から約30分後、1人が沈んでいる天翔ちゃんを発見。救急搬送されたが、1週間後、低酸素脳症で亡くなった。
保育士1人はプールを見ていたが、倒れる瞬間は気付かず、もう1人はプールサイドで日誌を書くため目を離していた。事故の約1か月前には国がプール活動に関し指導役とは別に専従の監視役を置くよう求める通知を出していたが、園では全職員に周知されていなかった。
心境を明かしたのは、このうちの1人。天翔ちゃんを救えなかったことに「申し訳ない気持ちでいっぱいです」と心情を吐露する。当時の園長(66)は職員への安全教育を怠ったとして昨年12月に懲戒免職になり、複数の同僚も退職した。自分も逃げたいと思ったという。
しかし、昨秋、同園などで天翔ちゃんの母、貴美さん(43)から「天翔が卒園する年になるまではいてほしい」と言われた。子供が好きで選んだ保育士の道。ほかの仕事は考えられなかった。「お母様のお話はとてもありがたかった。絶対に辞めることはできない」と心に誓ったという。
事故以来、市などの調査や警察の事情聴取に応じている。「安全には気を付けていたつもりで、事故が起きるとは思ってもいなかった」と語る。だが、国の通知の存在は知らなかったという。事故後、目を通したが「なぜもっと早く読んでおけなかったのか」と悔やむ日々という。
「1年たっても、当時のことを考えると申し訳なさや不安、恐怖で体が動かなくなる。だが、事故の原因究明と再発防止への協力が自分のすべきことです」
◇天翔ちゃん母「真相知りたい」
貴美さんが読売新聞の取材に応じた。「事故は天翔の未来だけでなく、私たちの希望も奪った」。貴美さんと、夫の英樹さん(44)は3月、現場にいた保育士や当時の園長ら4人を業務上過失致死容疑で地検に告訴した。怒りが消えることはないが「事故に最も直面しているのも保育士。『一緒に乗り越えよう』との思いもあった」と複雑な心情を明かす。「事故から逃げず、あのとき何が起きたのか教えて欲しい」と願う。
街頭覇王
アフリカ超人
両親は4月、園の保護者らとともに、事故の真相究明と再発防止を考える会を設立した。貴美さんは「天翔や事故について語るのはつらいことだが、それをやめると天翔の存在を否定することになる。天翔を思うことが、同じ悲劇を防ぐことになると信じている」と話している。
ハーバルビビッド
壮天根
上京区の認可保育所「せいしん幼児園」のプールで水遊び中の榛葉しんば天翔あもうちゃん(当時4歳)が死亡した事故は30日で発生から1年を迎えた。当時、現場にいた2人の女性保育士のうち1人が、同園を通じて読売新聞に心境を明かした。後悔と自責の念にさいなまれ、保育士を辞めようとも考えたが、「事故と向き合ってほしい」という天翔ちゃんの母親の言葉が自らを動かしているという。母親は「辞めることが責任の取り方ではない」と話している。(楢崎基弘)
事故は昨年7月30日、同園屋上のプール(長さ約6メートル、幅約2・5メートル)で起きた。京都市の特別監査に基づく調査報告書では、園児約30人がプールに入り、そばには「監視役」の保育士2人がいた。水遊び開始から約30分後、1人が沈んでいる天翔ちゃんを発見。救急搬送されたが、1週間後、低酸素脳症で亡くなった。
保育士1人はプールを見ていたが、倒れる瞬間は気付かず、もう1人はプールサイドで日誌を書くため目を離していた。事故の約1か月前には国がプール活動に関し指導役とは別に専従の監視役を置くよう求める通知を出していたが、園では全職員に周知されていなかった。
心境を明かしたのは、このうちの1人。天翔ちゃんを救えなかったことに「申し訳ない気持ちでいっぱいです」と心情を吐露する。当時の園長(66)は職員への安全教育を怠ったとして昨年12月に懲戒免職になり、複数の同僚も退職した。自分も逃げたいと思ったという。
しかし、昨秋、同園などで天翔ちゃんの母、貴美さん(43)から「天翔が卒園する年になるまではいてほしい」と言われた。子供が好きで選んだ保育士の道。ほかの仕事は考えられなかった。「お母様のお話はとてもありがたかった。絶対に辞めることはできない」と心に誓ったという。
事故以来、市などの調査や警察の事情聴取に応じている。「安全には気を付けていたつもりで、事故が起きるとは思ってもいなかった」と語る。だが、国の通知の存在は知らなかったという。事故後、目を通したが「なぜもっと早く読んでおけなかったのか」と悔やむ日々という。
「1年たっても、当時のことを考えると申し訳なさや不安、恐怖で体が動かなくなる。だが、事故の原因究明と再発防止への協力が自分のすべきことです」
◇天翔ちゃん母「真相知りたい」
貴美さんが読売新聞の取材に応じた。「事故は天翔の未来だけでなく、私たちの希望も奪った」。貴美さんと、夫の英樹さん(44)は3月、現場にいた保育士や当時の園長ら4人を業務上過失致死容疑で地検に告訴した。怒りが消えることはないが「事故に最も直面しているのも保育士。『一緒に乗り越えよう』との思いもあった」と複雑な心情を明かす。「事故から逃げず、あのとき何が起きたのか教えて欲しい」と願う。
街頭覇王
アフリカ超人
両親は4月、園の保護者らとともに、事故の真相究明と再発防止を考える会を設立した。貴美さんは「天翔や事故について語るのはつらいことだが、それをやめると天翔の存在を否定することになる。天翔を思うことが、同じ悲劇を防ぐことになると信じている」と話している。
- 未分類 |
- trackbacks(125) |
- 2015-07-30 12:46:29