はなかなかしんどい

「グロリムを監視しなくちゃならないと言ってたわ。わたしたちを助けて下さるわね?」
「セ?ネドラ、わしはおまえさんたちから千リーグ以上離れた場所におるのだ。ガリオンとシルクとわしは今マロリーにいる――文字どおりトラクの敷居をまたいだところなのだ。もしわしがここでおまえさんたちを助けたりしたら、トラクが目覚めてしまうだろう。ガリオンにはまだその用意ができてはいないのだ」
「それじゃ、わたしたちみんな死ぬんだわ」セ?ネドラは泣き出した。
「泣いたりするでない」老人は叱りつけるように言った。「ヒステリーを起こしている場合ではないぞ。早くポルガラの目を覚まさせてやらにゃならん」
「わたしたちもそうしようとしたのよ――でもベルディンが休ませておかなければならないと言うんですもの」
「休むことならあとでもできる」ベルガラスは言い返した。「そこにポルガラがいつも持ち歩いている袋があるか? あのこが薬草を入れている袋だが」

「ええ、あると思うわ。ダーニクが担いでいるのを、少し前に見たわ」
「ダーニクもいっしょなのか? そいつはよかった。ならばこれからわしの言うことをよく聞いてくれ。まず袋を開くのだ。必要なものは絹製の小袋に入っておる。他の壺やびんを開けてはならん。あいつはいつもそういったものに毒を入れておるからな。絹製の小袋のなかに黄色い粉末が入っているやつがある。ひどく鼻につんとくる臭いがするはずだ。鉢で水をわかし、その中に粉末をさじに一杯分入れるのだ。それをポルガラの頭のすぐそばに置き、彼女の顔をマントで覆って、その香りを吸い込むようにすればよい」
「いったい何の効果があるの」
「ポルガラの目を覚まさせるのさ」
「本当に大丈夫でしょうね」
「いちいち逆らうんじゃない。彼女は必ず目覚めるから、わしを信用しろ。この香りは枯れ木だってよみがえらすのだ。ポルガラが目覚めれば、あとはあのこが何とかするだろう」
 セ?ネドラは口ごもった。「ガリオンしら」やっとの思いでそう言った。
「やっこさんは今熟睡しているよ。昨晩目に会ったものでな」
「それじゃ、かれが起きたら、わたしが愛しているっていうことを伝えて下さらない」セ?ネドラは急きこんだ口調で言った。まるでちゃんと考えていたら、言えなくなってしまうとでもいうように。
「いまさらやつを混乱させてどうするのだ?」老人は言った。
「ひどいわ、ベルガラス!」セ?ネドラはショックを受けたような声を出した。
「冗談さ。むろんやつに伝えるとも。さあ、やるべきことを始めるがいい。それから、もう二度とこんなことをするんじゃないぞ。これからトラクのもとに忍び寄ろうというのに、何千リーグも離れたかなたからわめきたてられたんじゃ、仕事にならんからな」
「わめいてなんかいないわ」
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