機能不全家族に生まれて

「安保法案成立を擁護し、反対の学識者らを非難している人たち。彼らって、相当な機能不全家族に育ったんでしょうね…」国際的に活躍する通訳で、国家機関に勤務し、主に難民問題を扱う知人が、昨日私との話のなかでそんなことをもらしていた。
威哥王
私自身、機能不全家族に育った。父親は酒乱の典型で、外では徹底した臆病者の素顔をジェントルマンの仮面でかくし、そのうっぷんを酒の力で家庭における神として君臨した。時には家族の命さえ自らの手中にある!とさえ語ったこともある。
彼は徹底してやくざなど反社会的勢力を軽蔑した。しかし外に出れば、その脅威には薄ら笑いを浮かべべったり恩恵にあずかった。そして家庭に戻っては自らの自身に対する裏切りを、家族に吐き出し、人間の矛盾と汚れと諦めを強要した。私はそのような中で常に硬直しながら成長した。幼い日の写真を見返すと、気をつけ!した姿しかみることができない。許されなかったからだ。
五便宝
5年ほど前から薬物やアルコール、ギャンブルに狂った日々を送り、生きるも死ぬもできなくなった人々が集い、依存物に触れない日々を送る施設に仕事を通じかかわるようになり、私とまったく同じ、またはさらに悲惨な子供時代を過ごした方々とたくさん出会った。彼らの親は、家庭で神だった。その神に見捨てられて心を一度自らの殺した。結果、生き抜くため、時間を忘れるため、本当に死ぬ動機付けのために、破滅に向かった。しかし決して生まれた時から彼らに問題があったわけではない。その環境が大きかった。

確かに私のまわりでも「国のためにどのようなかたちでも国民を守ることこそ自衛隊の務め」「憲法違反でもなんでもいいから、さっさと安保法案を通して中国からの脅威に備えろ!」と乱暴に口にする人もいる。
顔馴染みであり雑談もするゆえに、なぜ、憲法違反を許すのか?他国からの攻撃の渦中に、自分ではない日本人がかかわることは正統か?自分もそこに加われるか?と尋ねれば、決してそうはならないし、できればそうはあってほしくない…
と吐露する。そして「昔から信じてきた、信じさせられてきた愛国の思いを今さら捨て去ることはできないんだ。なぜなら、苦しみの中で教育されたあの時代の苦しみが、無駄になってしまうから…」と答えてくれだ。私の胸に刻まれる。
黒倍王
後天的な精神の疾患は、家庭内の機能不全が大きな原因のひとつとされる。たしかに苦しみと憎しみの中で押し付けられた教育。それを次の代に押し付け負を連鎖させてしまうことも人だろう。しかしどこで負を断ち切るのか?まさに今を生きる私たちにそれが課されていること、この安保法案の大詰めの今、改めて思う。